山のイメージを考える。

良く晴れた春の日、遠く連なる山の稜線には、まだ雪が残り、まるで空に浮かぶ雲のように見える光景は、とても美しく、心が癒されます。私達は山から、様々な心象を得ています。特に日本では、古くから山岳信仰があり、信仰の対象として山を尊ぶ傾向があります。このように、山から受ける様々なイメージ(心象)について、アートセラピーの観点から山岳画の解析法を通して考察をしてみましょう。まず、描かれた山の形状で受ける心象が異なります。険しい形状と丘陵の形状では、厳しさと穏やかさのように、真逆なイメージを受けます。また、描かれた山の高低は、心理的な抑圧の大きさを投影しています。例えば、目前にそびえ立つ高い山からは、目標や各々の問題に向かう、困難や試練などの厳しさを表しています。特に残雪のある山は、白い色が神聖で無垢なイメージとして加わり、一層強い緊張を感じます。逆に、低山で穏やかな丘陵は、明るさなど、快活で希望のある未来を感じます。このように山の形状や高低の違いで、描かれた山から受けるイメージが大きく異なることがわかります。アートセラピーでは、このように解析をしますが、実際に我々が山の光景を目にして受けるイメージについても同様な心象であると思います。アルプスのような標高の高い山々や、日本一高い、富士山を目にした時の心象が崇高であることは、我々が、その姿から気高く、尊い心象を受けるからでしょう。また、緩やかに、幾重にも連なる稜線の青や緑のグラデーションからは、癒しや安らぎを感じます。私の大好きな作家、東山魁夷の描く山岳画は、まさしく、青く静粛な山岳空間を描いています。以前、ブログで、低山トレッキングをお勧めしましたが、それは、山を眺め、そこから、安らぎや心の浄化が得られるからです。このように、私達が山を眺めて心が高揚したり、安らぎを感じる要因は、山から受けるイメージからくるものです。私達は山に囲まれて暮らしています。時にはゆっくりと山を眺め、大きく深呼吸をして、それぞれの今の心情と重ねて、山から受けるエネルギーを感じてみてはいかがでしょう。 写真は箱根芦ノ湖の遊覧船から眺める富士山。

