アートって何?

皆さんは芸術、つまりアートとは、どのようなものだと思いますか?私はデザイン学校の教師として、長く芸術に関わってきました。様々な解釈があるかとは思いますが、今はシンプルに考えています。芸術とは何かと問われれば、それは「定義できない自由な創作表現」と簡潔に答えています。定義できないものであるから、特に決まった意味や言葉を有しません。人の意思や感情による創作意欲で表現される自由な作品ですから、観た人、それぞれの感受性に触れます。したがって、芸術は本来、他人から、良否や上手下手の評価を受けるものではありません。この芸術(アート)という概念を古代の芸術観までたどれば、とてもロマンティックな解釈がされておりますので、いくつかを簡単に紹介をします。そもそもアートの語源はラテン語のアルスと言われています。その言葉の意味は、人の手から作られるものを示し、古代では、芸術は技術的な見方がされていました。また、この言葉はギリシャ語のテクネ(テクニックの語源)を翻訳したものです。そのことからも技術的な意味合いがうかがえます。そこに人の感情から創作される要素が加わります。それを古代ギリシャ語ではポイエシス(神の創作を模倣する創作)と呼び、これはポエムの語源です。更に自分の感情を超えて浮かんでくるような神秘的で叙情的な創作力であるムーシケーが加わります。その時代は自分の感情だけでは理解できないような不思議な想像力は、感情を司る女神達(ゼウスの娘達)の力がもたらすものと捉えていました。その力こそ、ムーシケー(古代ギリシャ語で技芸を示す言葉)でもあります。このような様々なロマンティックな要素の解釈が加わり、アルスはアートへと発展して行きます。何か複雑で難しい感じもありますが、人の感情や意思から発する、強い思いが伝わる創作力であることは普遍です。定義が出来ない所以でもあります。だからこそアートは、いつも我々の心に届き、新鮮で魅力的な存在なのです。写真は刈谷ミササガパークのメルヘンチックな柴桜の光景です。