共通イメージと描画

我々は視覚を通して様々な情報を得て、それを知識や認識として行動や思考に移す事が出来ます。さて、我々が視覚から得た共通イメージとは何でしょうか。描画を例に説明します。それは大半の人が共通したイメージとして認識する形体や画像です。例えば、星、ハート等を各自のイメージで描いてもらうと、ほとんど全員が記号化されているような☆♡の形を描きます。つまり、同じような絵を描いたわけです。このような共通イメージがあるからこそ、記号や標識に利用されています。というより人類の歴史上、様々な視覚コミュニケーションのツールとして用いられて来たのです。ここに個人の固有イメージが加わると、個性の出る描画となります。例えば、月は三日月が一番多く、次に満月の順。木の絵は広葉樹が大半で次が針葉樹。煙突からの煙のたなびきは右へ流れる場合が多く、走る車の向きは左向きが多い。ごく稀に星を土星で描いたり、木を松で描く人もいます。このように、題材によって個人の性格や経験が加わったイメージで描かれます。これらの傾向は統計的に分類することが出来ます。共有イメージと固有イメージを比較した心理分析が出来るのです。私の行うアートセラピーが描画による心理分析としているのは、このようなデータを基に性格分析をしている訳です。特に希少なイメージ描画から、その理由を探ると、性格や思考など一般と異なる部分が垣間見えます。経験上のトラウマが関わる絵を描く人もいます。芸術作品は感情や感覚から現れるイメージで描かれます。描画に関わらず共有イメージは皆の行動や思考のベースとなり、流行を生み出し、社会的な固定概念を形成する場合もあります。共有と固有のイメージの相違を理解する事は個人を尊重する上で大切な事です。まずは描画から判別してみて下さい。(掲載の写真は季節の花が美しい、神戸布引ハーブ園の山頂です。)