描画からどのように深層心理を解釈するのか

ある題材を描くとして、実際、筆で描く場合。自分の頭の中にあるイメージを表現をして行きます。それは意識的な創作ですが、描画のすべてが、意識的に描かれているわけではありません。意識的な部分とは、何らかのテーマを表現したり、自分の感情的な部分を込めて描かれた意図的な部分であり、観ている側にも良く伝わってくる部分です。一方、無意識な部分とは、本人が特に意識をせず意図的に描いていない部分、例えば、精細度、コントラスト、ストローク、色彩、大きさ、プロポーション、バランス等、これらは作者の描画力が反映されていると同時に、無意識な性格面も出ます。また、無意識的なイメージとして作品の中に描かれた題材。ここが一番重要な部分ですが、なぜ作品の中で、それを描いたのか、そのように描いたのか、ただなんとなくイメージで描いた部分の意味を察して行く。ここを私は深層心理の解釈ポイントとしています。人のイメージは、決して急に浮かんでくるわけではありません。作者の経験の中で見たもの、感じたものが、頭の中の記憶というアーカイブに一旦保管されて、それらを統合して創作のイメージとしています。つまり描かれた題材、一つ一つに、作者の無意識な感情や性格面も反映されているのです。意図的に描かれ方部分と合わせて、解釈をするれば、より作者の心理面までを捉えた描画鑑賞をすることとなります。これが、描画による深層心理解釈です。私のアートセラピーでは、この深層心理解釈に重点を置き、クライエント(相談者)の心理支援に用いています。深層心理は本人が気が付かない心理面です。そこに目を向ければ、心理面の問題解決に有効に働きます。